僕は生徒に恋をした
「先生、走って来たでしょ?
すごく暖かい」

山田が嬉しそうに俺の背中に手を回すので、山田が冷たいんだよ、と俺はため息混じりに言う。

「いつからここにいたんだ?
無茶するな」

「だって今日、先生の誕生日だって聞いたんだもん」

全然知らなかった、と山田が俺の顔を見上げる。

「俺もすっかり忘れてた」

そう答えると、山田は笑った。

「驚いた?」

「そりゃ驚くよ」

こんなに体を冷やして待ってられればな、と内心で思う。

だけど山田は満足そうに笑う。
サプライズが成功したと思っているに違いない。
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