僕は生徒に恋をした
「今日、お家の方は?」

山田は俺の言葉に首を振る。

こんな日は、彼女の特殊な家庭環境に感謝してしまう。

「じゃあ、少しだけ俺ん家に寄ってから帰るのでもいいか」

山田の表情が明るくなる。

「嬉しい、初めてだ」

山田が来ると分かっていたら、もう少し掃除しておくんだったな、と反省したが遅い。

俺は玄関口に出しっ放しにしていた靴を下駄箱にしまいながら、どうぞ、と彼女を招き入れた。

山田をリビングのソファーに座らせると、俺はキッチンでコーヒーを入れる。

「悪いな、ミルクないんだ。
コーヒー、砂糖だけでいいかな」

俺がキッチンから山田を見ると、彼女は頷いた。
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