僕は生徒に恋をした
「そこらへんの本、適当に読んでていいから」

退屈しのぎになればと思って言ったが、俺の部屋の本はほとんど数学や物理学関連だから山田にはつまらないかもしれない。

「何読んでる?」

コーヒーを二つ持ってリビングに向かうと、意外にも山田が本に夢中になっているようだった。

「先生の家に絵本があると思わなかった」

山田の手には、クマのぬいぐるみの絵本が握られていた。

「ああ、それ。
姉ちゃんが甥っ子連れて来たとき忘れてったんだ」

俺の言葉に山田は驚く。

「お姉さんいたんだ」

「ああ、6つ上と4つ上にな」

「しかも2人も」

山田がいちいち驚くので笑える。
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