僕は生徒に恋をした
「今度紹介するよ」

とは言ったものの、こんな歳の離れた恋人を見せたら、あいつらうるさそうだから、当分先になるだろうけど。

「いただきます」

山田はマグカップに口をつけ、熱かったのか一瞬目を閉じる。
その様子が山田らしくて、俺は苦笑した。

「あ、忘れるとこだった。
先生、誕生日何が欲しい?」

唐突に聞かれて困った。

何せ、さっきまで忘れてたくらいだし。

「いいよ。
ここに山田がいるだけで十分」

意識せずにそう言ったが、山田が顔を赤らめるのを見て、急に照れが襲って来る。

「山田がいてくれればいい」

恥ずかしいのを堪えつつ、自分の気持ちを確認するように、俺はもう一度言ってみる。
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