僕は生徒に恋をした
山田がまさかそんなことを考えてるとは思わなかった。

俺がどれだけ彼女にハマっているのか、きっと本人は気付いていない。

「そうやって余裕がなくなるのが恋愛なんだって、私分かったの」

山田は俺を見つめて、ふわっと笑う。

「全部、先生が教えてくれたんだよ」

彼女の言葉が、俺の不安定な心にゆっくりと浸透していく。

「だから、私は先生がわがままな方が嬉しい。
もっと余裕がなくなって欲しいくらい」

目の前の山田の笑顔を見て、俺は確信する。

俺はきっと、山田に、初めて本当の恋をしたんだ。

山田が愛しくてたまらなかった。
初めに好きになったときより、ずっと。ずっと。

俺は思わず、山田にキスをしていた。
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