僕は生徒に恋をした
「手嶋先生に似てるの?」

俺が聞くと電話の向こうで山田がそっくり、と笑う。

山田が楽しそうに過ごしているようで、ホッとした。

手嶋先生は家を出ているから、3人での生活は気まずいのではないかと少し心配していたから。

山田の話に耳を傾けながら、俺は距離を置くべきかまだ迷っていた。

電話の向こうの彼女は今までと全く変わらない。

もしかしたら周囲にバレることなく、このままやっていけるかもしれないと期待しそうになる。

二度と失敗は許されないのに、そんな風に考えてしまうのは電話の向こうの山田が愛しいからだろうか。

いや自分に甘いだけだな、とすぐに思い直す。

そのとき、インターホンが鳴った。
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