僕は生徒に恋をした
「数学以外聞かれても答えられないけどね」

俺は一度しらばっくれて、気持ちを落ち着かせる。

「―――山田がどうかしたのか?」

武内がこんなに神妙な顔をして俺を訪ねるのは、山田のこと以外に考えられなかった。

「あいつ、責められてるよ。
佐々ちゃんのせいで」

俺は驚いた。

だってさっきの電話の山田はいつも通りで、そんな様子は全くなかったから。

「今日も言われてた。
佐々ちゃん謹慎にさせておいて、自分は普通に高校通ってんじゃねぇって」

「誰に?」

「佐々ちゃんのクラスの小野寺」

とその他多数、と武内は付け足す。

俺は思わずため息を漏らす。
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