僕は生徒に恋をした
だけど私自身、その言葉が気がかりだった。

本当にそれを信じていていいのか、毎日だんだん不安になっていた。

「そんなの本気で信じてんの?
生徒じゃなくなって、今より接点なくなって、佐々ちゃんがまだ山田のこと好きでいると思うの?」

聞きたくない。

「会う機会が減って、きっとすぐに駄目になる」

何で。
武内君の言葉はひどいのに、どうして私はすぐに否定できないんだろう。

「だいたい、本当に好きなら、俺がそんなこと言ったくらいで別れるかよ」

佐々ちゃんが山田を本当に好きだとは思えない、と武内君は言った。

「そんなことない。
ちゃんと私のこと好きだって言ってくれた…」

声が震える。

確かにそう言ってくれたはずなのに、先生の声が思い出せない。
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