僕は生徒に恋をした
私はその後すぐにカラオケを出た。

これ以上武内君と話すのは、心を見透かされているようで辛かったから。

不安でたまらなかった。
先生を信じたいのに、信じられなくなっていた。

先生の笑顔を見れば、先生の声を聞けば、この不安は簡単に吹き飛ぶはずなのに。

そんな簡単なはずのことが今の私にはひどく難しい。

帰り道、私は祈るように携帯電話を見つめる。

一言でいい、声を聞きたい。
安心したいだけなの。
だから、今夜だけ…。

私は先生に別れを告げられてから、初めて電話をかけた。

先生を困らせるのは分かっていたけど、どうしても声が聞きたかった。
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