僕は生徒に恋をした
第二十六章 恭司のクリスマス
「彼女、大学受かったんだって?」

洋平の言葉に俺は、おかげさまで、と頷いた。

山田は無事、志望していた美大に合格した。

もちろん俺が聞いたのは本人からではなく、手嶋先生からだけど。

「―――ていうか、お前こんな所で俺と飲んでていいの?」

クリスマスだろ、と言いながら洋平はビールを一口飲んだ。

お前こそいいのかよ、と聞き返そうとして止める。

洋平は以前から異性に縛られるのが嫌いだったっけ。

「別れたんだよ」

俺の口調があまりに自然だったからか、洋平は一度、そうか、と流しかけてむせた。

「―――は?
別れたって、お前と雛ちゃん?」

「一度に複数と付き合えるほど俺は器用じゃないよ」

俺が素っ気なく答えると、洋平はふぅんと頷き、苦笑した。
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