僕は生徒に恋をした
「俺、タバコ吸って来るわ」

「おい」

いい気なもんで、洋平は立ち去ってしまう。

「お前、まだ切れてなかったのかよ」

しかめっ面の林原に首を振り、別れたよ、と答えた。

「雛って…。
あの、佐々本先生が謹慎になったときの…生徒?」

佐藤先生がつぶやく。

よりによって、彼女の前で爆弾投げて行くなよな。
俺は心の中で洋平を恨む。

「思う存分非難していいですよ。
佐藤先生を振った理由がそれですから」

答えられない俺の代わりに林原が言った。

佐藤先生の顔が見られない。

どんな非難を浴びるかと構えていたが、彼女が発した言葉は意外なものだった。

「それで、理由を教えてくれなかったのね」

彼女の穏やかな表情に、俺も林原も拍子抜けする。
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