僕は生徒に恋をした
全く。
タイミングが悪い。

山田は少し頬を膨らませ、横を過ぎるときに一瞬、べっと舌を出した。

そんなことされても、今のは不可抗力だろう。

俺はムッとして彼女を見返す。

そもそも山田は俺にチョコレートをくれないのかよ、なんてくだらないことまで気になったりする。

そう言えば夏祭りのとき、以前バレンタインに好きな人に渡したけど、本気にしてもらえなかったと言ってたけど、それって俺のことだよな。

そもそも、山田は入学当初から俺のこと好きだったみたいに言ってたけど、チョコレートをもらった記憶がまるでない。

さすがに教卓の上に積まれてたんじゃ覚えてないだろうけど、さっきみたいに直接渡されれば少しくらい覚えててもいいのに。

山田が渡したのは本当に俺かよ、と疑ってしまう。

あのおっちょこちょいのことだからやりかねないし。
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