僕は生徒に恋をした
山田の手には、チョコレートの箱が握られていた。

拾わせてしまったのか。
山田ってやつは、相変わらずタイミングが悪い。

そんなことを思ったとき、ふと、以前にもこれと同じようなことがあったような気がした。

俺は記憶を辿ろうとするが、なかなか思い出せない。

「はい」

山田はそう言って、手にしていた箱を俺に差し出す。

「あぁ…」

拾ってくれてありがとう、そう言って受け取ろうとしたとき、先に山田がつぶやいた。

「拾ったんじゃないよ」

言おうとしたことが分かるのか、と彼女の言葉に驚いた。

「これも、二年前のも、私のチョコだよ」

そうか、二年前だ。
ちょうど今と同じようなことがあったっけ。

あのときも、ばらまいてしまったチョコレートを拾っていて…。
< 351 / 374 >

この作品をシェア

pagetop