僕は生徒に恋をした
山田がはにかみながら頷くので驚いた。

「うまいよ」

意外にも本当においしいと言ったら山田に怒られるだろうか。

「良かった」

山田はホッとした様子で言うと、無邪気に指についたココアパウダーをペロッと舐める。

俺は単純に、その仕草にドキッとしてしまう。

「誘ってんのかよ…」

山田に聞こえないようにつぶやく。

以前洋平に言われたけど、実際にかなり欲求不満かもしれない。

こんなたわいないことで、変な気分になってくる。

俺がこんな気持ちになってるなんて、山田はきっと知りもしないのが無性に悔しい。

俺は無意識のうちに山田の手を掴む。
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