僕は生徒に恋をした
職員室に入ると、やはりいつもよりどこか落ち着かないムードが漂う。
袴姿の女性の先生たちの中で、佐藤先生が俺に気付いて頭を下げた。
薄い紫色の袴が、彼女にとても似合っている。
「おめでとうございます」
いよいよ卒業ですね、と彼女は言った。
これまで一、二年生の担任ばかりやっていた俺にとって、今年の生徒は初めての卒業生だった。
式典は滞りなく進んだ。
うちの校長は専門が哲学で、理系の俺でも興味深い話を聞かせてくれるので、彼の話は嫌いじゃない。
ただ、卒業式とほぼ無縁のことばかり話すのが玉に傷だけど。
生徒たちが、校長の話が終わるのは今か今かとそわそわしているのが笑える。
俺も学生のときはそうだった。
きっと少しは大人になったのだろう。
袴姿の女性の先生たちの中で、佐藤先生が俺に気付いて頭を下げた。
薄い紫色の袴が、彼女にとても似合っている。
「おめでとうございます」
いよいよ卒業ですね、と彼女は言った。
これまで一、二年生の担任ばかりやっていた俺にとって、今年の生徒は初めての卒業生だった。
式典は滞りなく進んだ。
うちの校長は専門が哲学で、理系の俺でも興味深い話を聞かせてくれるので、彼の話は嫌いじゃない。
ただ、卒業式とほぼ無縁のことばかり話すのが玉に傷だけど。
生徒たちが、校長の話が終わるのは今か今かとそわそわしているのが笑える。
俺も学生のときはそうだった。
きっと少しは大人になったのだろう。