僕は生徒に恋をした
「高校生活で得た友人や経験は、とても価値があるんだ」

俺は教卓で生徒たちに向かって言う。

「実際、俺もまだ繋がってる仲間もたくさんいるしな。
これからみんなの進路は様々だけど、これからも大切にしていきなさい」

簡単な言葉しか出てこなかったけれど、これが最後のホームルームになった。

******

「佐々ちゃん、夕方6時に駅前のしゃぶしゃぶ屋だからね」

「分かったって」

教室から出て行く生徒たちと、何回この会話をしただろう、と苦笑する。

今夜、クラスの生徒たちが謝恩会を開いてくれると言う。

とはいえ、謝恩会とは名ばかりで、結局俺がたかられるのだろうけど。
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