僕は生徒に恋をした
俺の言う意味がいまいち分かってなさそうで、山田は首を傾げる。

「俺も見回り済ませたら、駅前の店に向かわなきゃいけないし」

その前に家で着替えたいから、あんまりゆっくりしていられないのも事実だ。

「続きはそのうち」

俺がそう言うと、山田はようやく分かったのか、再び真っ赤になる。

「続きって…。
当分無理だと思う…」

山田はそう言ってバッグの中に携帯電話を押し込むと、立ち上がる。

「夜、電話するね」

「うん」

「―――ねぇ、先生。
これから、色んなとこ一緒に行けるんだよね」

俺はああ、と頷く。

「色んなこと一緒にできるよね」

俺はもちろん、と答えた。
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