僕は生徒に恋をした
「良かった」

山田はふわっと笑った。
俺の一番好きな笑顔だ。

「山田」

俺は去り際の彼女に、もう一度声をかけた。

「卒業おめでとう」

ちゃんと言っておきたかった。

「早く山田が卒業してくれないかって、ずっと思ってたんだ。
だけど、いざ卒業すると少し寂しいもんだな」

「先生…」

「まぁ、お前は卒業しても、手のかかる生徒には違いないか」

山田は俺の言葉に一旦膨れたかと思うと、すぐに吹き出した。

「そうかも。
きっと先生もずっと先生だもんね」

そう言った山田の笑顔がかわいくて、俺はもう一度彼女の手を引き、抱き寄せる。
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