僕は生徒に恋をした
「そんな格好で行くな」

俺が着ていたジャケットを脱いで山田に掛けてやると、体の小さな彼女はすっぽり収まり、制服は隠れてしまった。

後ろから見るとジャケットから足が生えてるみたいだ。

「ありがと」

山田はそう言って教室に向かった。

「相変わらず生徒に優しいんだ」

中村の言葉に俺は彼女を見た。

「それともあの子が特別なの?」

俺は答えない。
いや、答えられない。

「普通、生徒の家になんて行かない」

俺は今、どんな顔をしているだろう。
言い当てられて青くなっているだろうか。
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