僕は生徒に恋をした
高校から30分程歩いたところで山田の家に着いた。

「寒いから早く入れ」

俺は彼女を促す。

「ありがとう。
バイバイ、先生」

そう言って彼女が家に入るのを見届けてから、俺は自転車の向きを変え、跨がる。

「寒…」

手に息を吐きかけてそうつぶやいたとき、

「先生!」

俺は山田に呼び止められた。

振り返ると、山田が俺に駆け寄ってくるのが見えた。

「どした?」

山田は俺の隣りまで来ると、

「これあげる。寒いでしょ」

そう言って手に握られたカイロを見せた。
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