僕は生徒に恋をした
「行こうか」

手嶋先生は歩き出し、俺は彼の後を追う。

高校から出発してしばらくは暗い道が続いたが、大通りに出たところでいきなり賑やかになる。
道の両側に露店がたくさん出て、人も多い。

この中から高校の生徒だけを見つけて指導するのは困難なため、結局は見回りの格好をするだけになってしまう。

焼きそば、かき氷、りんご飴…。
ここ数年は毎年この祭りに来ているというのに、屋台を覗けば、つい童心に返ってしまう。

「先生もお祭りに行ったりしたんですか」

俺みたいには興味がなさそうな手嶋先生に話を振る。

「だいぶ昔のことだけどね」
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