僕は生徒に恋をした
「やっぱり来てたか」

俺は手嶋先生に少し待ってもらい、彼らに駆け寄る。

「佐々ちゃんに会えるかもと思って、浴衣着てきて正解だった。
どうどう、似合う?」

女子生徒の一人、小野寺が俺に見せるように、パタパタと浴衣の袖を振る。

「似合う似合う」

俺が迷わず頷くと、小野寺は少し膨れてつぶやく。

「佐々ちゃんて優しいんだけど、心がこもってないんだよね」

「そんなことないよ、よく似合ってる」

褒めたのは本心なのに、残念ながら俺の言葉はあまり伝わらないらしい。

「じゃあ気を付けて帰れよ」

「もう行っちゃうの?」

小野寺が俺の腕を掴んで引き止める。

「見回りが仕事だからな」

「花火まで一緒にいてよ」

「花火?」

俺が聞くと、小野寺は驚いたように聞き返す。

「佐々ちゃん、花火のジンクス知らないの?」

「ジンクス?」

俺は彼女の言葉に少しだけ興味がわいた。
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