僕は生徒に恋をした
そのジンクスを知らないのが信じられないというように、他の女子も話に入ってくる。

「好きな人と花火を一緒に見ると、両思いになれるらしいよ」

「でも花火が少しでも欠けちゃいけないんだよね。
この大通りだと、周りのビルとかが邪魔して絶対欠けちゃうの」

「へぇ」

俺は通りを見回す。
確かに高いビルが連立しているため、花火が欠けないとすれば真上だけ。
つまり、この通りからは無理だ。

「ていうか、俺?」

俺は小野寺の言葉の意味をやっと理解して驚く。

「私、佐々ちゃんと見たい。
佐々ちゃん好きだもん」

「サエコばっかりずるい。
私だって、佐々ちゃん好きだよ」

そう言って何人かに囲まれたので逆にホッとした。

何だ、冗談か。
もう生徒はこりごりだ、…山田以外は。
< 99 / 374 >

この作品をシェア

pagetop