約束
その後、私たちはいろいろ話をした。
「まっさか、咲が年下とは思わなかったよ。タメだとずっと思ってた。」
「私だって!!匡くんが先輩って思わなかった。」
匡くんと初めて会った気がしなくて話をしてて久しぶりに楽しいって思ってしまった。
もう笑うことなんて一生ないって思ってた。
そんな私に笑顔という大切なものをくれたのは匡くんでした。
「どしたの?急に黙って。」
「ううん、なんでもないよ。」
私がそういうと匡くんは窓を見て叫んだ。
それにつられて私も窓の外を見た。
「「あーーーー!!!!!」」
窓から見える空はもう真っ暗だった。
「……お母さんに怒られる」
「……父さんに怒られる」
私たちは口々に呟いた。
私の家は母子家庭。
お父さんは私たち家族にいつも暴力をふるっていた。
それに耐えられなかったお母さんはお父さんと離婚してしまった。
だから私のところはずっとお母さんと私の二人だけ。
「…俺とこさぁー…、母さんが8年前に事故で死んだんだ…。だから俺、父さんと2人で暮らしてるんだ。…はは、俺、今日会ったばっかの人に何言ってんだか…。」
「…私はお父さんいないんだ…。離婚しちゃって…。……私たちって、ちょっとだけ似てるね。」
そういい、私は匡くんに微笑んだ。
匡くんも私に微笑んでくれた。
「…もう帰ろっか。親が心配してる。」
匡くんは立ち上がった。
「大丈夫?立てる?」
「うん、大丈夫。ありがとう。」
その時の匡くんの顔はどこか寂しそうで、でもどこか嬉しそうで。
そんな匡くんを見ていると圭のことを思い出して、胸が少し痛んだような気がした。


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