敏腕秘書の甘い罠【Honey*TRAP!! 番外編】
深い……真摯な色をその瞳に
たたえて、柊弥はまっすぐ
あたしを見る。



そして、心地好く響く
テナーボイスで、ゆっくりと
言った。



「頑張れ――いや、頑張ろうな。

いい、父親と母親になれる
ように」



「柊弥………」



見つめ返すと、あたしの
全てを包み込むかのように、
そっとあたしの体を抱いて
くれる。



―――柊弥には、また
お見通しだったのかもしれない。



あたしが“母親”になる
ことに対して感じてる、
漠然とした……だけども、
底無し沼のように大きな不安を。


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