追憶〜逢いたい人へ〜
少しして、勇が口を開く。
『じゃあ、今でも俺のこと好きか?』
『……好きになったらダメだと思ってる。』
『………。』
『ごめんね。…ありがとう。』
涙が勝手に出てきてしまった…
『……お前さぁ、誕生日ん時の約束覚えてるよな?』
私は黙って頷く…
やっと少し笑った勇は、
『じゃあ、俺の誕生日の夕方、またあの場所にきて!』
…えっ…?
声にもならなかった私は、顔を上げて勇を見つめた。
『…そんとき、もう一度好きかどうか聞くから。頼むから、ちゃんと考えて!』
思いもよらない勇の言葉…
『…なんで?』
『…ん?』
『なんで私なの?もっと…、もっと勇には相応しい人がいるでしょ?』
『…前にも言ったじゃん。理由なんてない。俺に相応しいのは…千代だと思ってるから…』
私が返事に困ってると、
『じゃあ、また誕生日に!絶対来いよ!』
そう言った勇はグラウンドの人混みに消えていった。