追憶〜逢いたい人へ〜
『あー!千代〜!』


ぎょっ!っとして振り返る。

その声の主は、やっぱり勇だった。


ギャラリー達の視線が刺さる…。
……冷たい…恨めしそうな視線が…



でも、そんなことはお構いなしに勇は私に手を振る。

『吉野先生大丈夫だったか?』
………だって…。


『おう!なんとかね!』

とりあえず、なんとかこの場を切り抜けなくては…

勇に会いたくて来たグラウンドだったのに、視線が恐くて早くこの場から逃げ出したかった。


なのに、勇は、

『悪かったな、部活頑張れよ!』


なんて意味ありげに言うもんだから冷たい視線で余計に背筋が凍った。



でも、なんか特別視されてるようで…

嬉しかった……。


……だけど、とんでもないやつ、好きになっちゃったなぁ…

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