追憶〜逢いたい人へ〜
『千代、約束…破ってごめん!』
勇は急に頭を下げた。
泣きそうだった私は、呆気にとられて涙が止まった…
『ほんとにごめん。仕事で…』
次の言葉を遮って、
『もういいの…。気にしないでよ…。終わったことだもん。それに……』
『それに?』
『……振ろうとしたんだよ、私。最低でしょ?』
『マジでぇ〜!!信じらんねぇ…』
さっきまで神妙な声だった勇は一変して、いつもの…あの時のままの勇に戻っていた。
少しホッとした私は、
『信じられないっしょ?』
と笑った。
『じゃあ、なんでここにいるんだよ?』
不思議そうな顔をしてる。
『だって…ここ落ち着くんだもん。私も考え事するときここに来てたの…。ごめんね…勇の場所借りちゃった。』