追憶〜逢いたい人へ〜
…幸せと不安
高校一年の夏から勇と私は恋人同士になった…
勇は会う度に、
“この俺が二年も待った”って嫌みたっぷりで言う…。
何も言い返せない私は黙ってると、
その後は必ず“ギュッ”って抱き締めてくれた…
私にはもったいないくらいの幸せだった……
ファンへの後ろめたさは常にあったけど、勇と一緒にいるときだけは忘れようと思った…。
勇はどんどん忙しくなった…。
でも、オフの日は必ず私とあの場所で会ってくれた。
電話はいつも私から……。
だって、家族にも内緒だったから…
勇からかかってくればバレちゃうし……
この時代には携帯がなかったから、こんな不器用なやり方でしか付き合えなかった……。
会えない日は声が聞きたい……
でも、勇は忙しかったから帰りは夜中だったりする…
だからかけられなかった……
ただただオフの日が待ち遠しくて……