追憶〜逢いたい人へ〜
でもこの1ヶ月間、会えなくて寂しくて……
不安だった………
もうこのまま会えなくなってしまうのか……
なんて考えたり………
私なんかより、素敵な人を見つけたのかも…って思ったり………
幸せだったぶん、不安のほうが大きくなっていってた……。
だから嬉しかったけど…余計に素直になれなかった。
勇が私からヘルメットを取り、私に被せてくれた。
『千代は赤が似合うな。』
ヘルメットは赤……
私の胸はドキドキ…
痛いくらいにドキドキ…
体に悪いよ……
私をそんなにドキドキさせないでよ……
バイクに跨がった勇は、エンジンをかけて、
『乗って!』
と、私を誘う…。
バイクに乗ったことないからぎこちなく後ろに跨がった…。
『ちゃんと俺に捕まってて!』
私の両腕を自分の腰に巻き付けて手を“ギュッ”っと握った。