追憶〜逢いたい人へ〜
背中に、早くどこかに行け!とでも言われてるような視線を感じながら、ふと野球部の隣のサッカー部に目が止まった。


…何でだろう…
勇よりも孝雄の方が早く目につく。


私は孝雄に向かって手を振った。
私に気が付いた孝雄は手を振り替えしてくれた。

“また後でね”
って口パクで伝えると、

孝雄は頷いて答えてくれた。


あっ……そういえば、あの嫌ぁな冷たい視線が消えていた。


野球部の方を振り返ると、ギャラリー達はもう、勇に釘付けだった。



一つ疑問………
勇と私は自負するくらいすごく仲が良いと思う。

このことはギャラリー達も分かってるはず…

勇は女子の中でもよく話すのは私だけだし…

なのに、何も言ってこない。

つまり、

『ちょっと話あるんだけど、顔貸しな!』とか

『ちょっと、馴れ馴れしくしないで!』
……みたいな…。


ただ冷たい恨めしそうな視線だけ…

なんでなんだろう…

まぁ、何もないことは良いことなんだけど…
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