追憶〜逢いたい人へ〜

『怖いからゆっくり走ってよ!』


ドキドキとビクビクが重なってなんだか体が震える…


そんな私に勇は、


『わかんないなぁ…』


って余計に私を怖がらせた…。


でも、口ではそんなこといっても、勇に震えながら力一杯しがみついてる私の手を優しく…そして、強く握ってくれた……。





勇はヘルメットをかぶると誰だか分からない…


回りの目を気にせず隣にいられるんだ…




勇………



ありがとう…………








ゆっくりバイクが走り出す……




勇はやっぱり優しい…



怖くない程度にスピードをあげた……








そして、信号で止まる度に、私の手を握ってくれる…。





R134を真っ直ぐ走り、江ノ島へ向かって走った…。






外はもう夕方……


陽が沈みかけている……






バイクで走りながら見る夕日はいつもと違って見えた……。






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