追憶〜逢いたい人へ〜

勇は私を抱き締めたまま、


『このままでいいから聞いて…』



嫌な予感がする……



私は黙ったまま耳を傾けた…。


『1ヶ月も会えなくてごめん…。千代とちゃんとデートがしたかったから…。』


『…もう謝らないで…。私も拗ねたりしてごめんなさい。』



…違う…。勇の言いたいことはこれだけじゃない…



この時、何故かそう思った…。




暫く沈黙………。












やっと勇が口を開いた…。


『…今まで以上に会えなくなるかもしれない……』



……やっぱり……




私の予感が的中してしまった…。



『今まで以上に忙しくなりそうなんだ…ごめん…。』



『いいよ。我慢する…。覚悟してたことだし……』



精一杯の強がりを見せた。



勇は、何も言わずに抱き締める腕に力を込めて……



きつく…きつく………



私を抱き締めて…………





優しく……長い……



……キスをした…………










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