追憶〜逢いたい人へ〜
勇が振り向き、私に手招きをして柵に座った。



私も隣に座る……。



勇が私の手を取り、


『連絡待ってたろ?』

と私の顔を覗き込んだ。


私の目に映った勇の顔は、夕日を浴びて、綺麗…

また私は見とれてクラクラする…。



『…今日はどうしたの?オフの日じゃないよね…?』


勇は無言のまま…


ただ、ぼんやり海を見ている……。



私もこれ以上何も言えなくなった…。




波の音だけが聞こえる…。


勇は真っ直ぐ海を見つめ、私の手を“ギュッ”っと力強く繋ぐだけ……





勇の表情を見てると、やっぱり別れなきゃならないんだ……



と、思わずにはいられなかった……。



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