追憶〜逢いたい人へ〜
夕日が沈み、辺りが暗くなってきたとき、勇がやっと重い口を開いた…。


『俺達のことがマネージャーにバレた…。』



『えっ…?!嘘…』



『マジで……。』


勇は私の手を自分の方に引き寄せ、両手で包み込んだ。


今日はそんなに寒くないのに勇の手はひどく冷たかった……。




『ごめん。俺の不注意だったんだ。写真見られて…調べられた……』


何も言えない私に更に勇は、


『…別れろって……』



…やっぱり…



…とうとうきたか……



私は俯きながらそう思ったとき、


『俺は別れるつもりはない。』



…えっ…




予想外の言葉だった。



勇の顔を見ると、真剣で真っ直ぐ私を見つめていた。



…何か言わなくちゃ…



でもなんて言ったらいいか…言葉が出てこない……





『別れよう…って言うと思った?』


勇はフッと笑みを見せた。


何も言えずにただ頷いた…





< 128 / 297 >

この作品をシェア

pagetop