追憶〜逢いたい人へ〜

あの急な呼び出しから、勇は本当に忙しくなった。



もう2ヶ月もだったんだ。

テレビをつければ必ず勇を観るし、どの雑誌を見ても勇が必ず載っていた…。



だからあれ以来、勇と全く会えなかった。



帰り際に、

『会いたくなるから電話もしない。』


って言ってたから、本当に電話もなかった。




だから、あの呼び出しは夢だったんじゃないかな…


なんて思ってしまう……




それでも、バイクの音が聞こえると、つい外に出てしまう…



もしかしたら、勇かもしれないって………



でもそんなわけないのに……



頭でわかってても、体が無意識に反応しちゃう…




勇を見ない日はないくらい私は毎日、勇を見てる…




ただブラウン管を通して…


その事実が余計に寂しくさせる……




私が唯一、勇にとって安心する場所だって思ってたし、勇もそう言ってくれたけど、もう違うよ……



勇は私に会えなくても、しっかり、ちゃんと勇の道歩いてる…



前に進んでる……


だから、私はもう必要ない……。





でも、勇のこと……




大好きだよ………。



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