追憶〜逢いたい人へ〜
車中、孝雄に何度も謝った。
その度に、孝雄は、
『気にすんな!…お前がなんでもなくて良かった…そもそも、俺がお前を待たせたからだ。怖かっただろ…ごめんな…』
って優しく笑った。
…安心する……
孝雄の優しい笑顔で私は震えが治まった。
警察署に着くと女性の警官が私を部屋まで案内してくれた。
応接室に通された。
『ここで待っててね。すぐ戻るから…』
そう言って警官は部屋を出ていった。
私は辺りを見回す…。
私はてっきりテレビで見るような薄暗い取調室に連れていかれるのかと思っていたから拍子抜けした。
その間も孝雄は私の手をずっと握っていてくれた。
少しして、さっきの女性の警官が、温かいコーヒーを持ってやって来た。