追憶〜逢いたい人へ〜

『もうここは安心だから。これ飲んで落ち着いてね。』


コーヒーを手渡して向かいの席に座った。


一口口にする…



じんわり温かくてホッとした。



『ねぇ…あなた達は恋人同士?』


女性の警官が笑って尋ねる。


突然の質問にお互いびっくりして、恥ずかしくて握っていた手をパッと離した。



お互い、手も首もブンブン振って、


『同級生です。』


と口を揃えて否定した。




私達の慌てように少し驚いた警官は


『そうなの?てっきりそうだと思ってた。ごめんなさいね。でも、そう見えるわよ!』

ニッコリ笑った。



私は嬉しくなって、真っ赤になった。



警官は少し間を開けてから、


『思い出したくないでしょうけど…ごめんね。何があったのか聞かせてくれるかな?』


そう言った。








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