追憶〜逢いたい人へ〜
警察署の外に出ると辺りはもう薄暗くなっていた…。



母さんは孝雄に何度もお礼を言い、頭を下げた。


その度に孝雄は

『もうやめてください。』
と母さんに頭を上げるように頼んでいた。



母さんは、

『だったらせめて、車できたから送らせて。』


と言った。


孝雄の動きが止まった…


“車”と聞いて、何が思い出したかのように、“ハッ”とした顔をしていた。


そして、


『ちょっと思い出したことがあるので中に戻ります。送って頂くのは大丈夫です。千代さん、疲れてるだろうし早くお家に帰って休ませてあげてください。』



そう孝雄は言い残し、警察署の中に消えていった。





…何を思い出したのかな………?




気にはなったけど、精神的にもうくたくたで…



お言葉に甘えて帰ることにした。







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