追憶〜逢いたい人へ〜
孝雄が思い出したこと…
それは“車のナンバー”だった…。
私を抱き締めてくれながら咄嗟に、走り去る車のナンバーを暗記していてくれたのだ…。
…あの状況で車のナンバーを覚えたなんて……
警官にこの事を聞いたとき、孝雄ってすごいな……って思った。
その男は、私よりも二歳年上の同じ中学校だった。
中学校のときから私に目をつけていたらしい…。
所謂、ストーカーだった。
全然気付かなかった…。
そして、前に孝雄に言われた“無防備すぎる…”の意味がやっと分かった気がした…。
ストーカー男は、私が勇と付き合っていたことも知っていた。
そして、ここで新たな事実…
このストーカー男は別れさせようと勇とのことを週刊紙に売ろうとしていたらしい…
それを勇の事務所がなんとか揉み消したようだ…。
私の知らないことまでこの男は知っている…
恐怖を通り越して、呆然としてしまった…。