追憶〜逢いたい人へ〜

『…なんで、そんなに私のこと、分かるの?』




…なんか嬉しすぎて涙出そう……




『付き合い濃いからなぁ…それに分かりやすい。』



孝雄は、玄関で立ち止まっていた私の手を引いて歩き出した。




孝雄と手を繋ぐとホッとした。

孝雄の温もりが私を安心させる…



『……ありがと…。』



お礼がなんか照れ臭くなって声があまり出なかった。


『えっ?何?』


やっぱり聞こえなかったのかな…?


でも、また言うの恥ずかしいよ…!!!!



『…なんでもない!』


恥ずかしくて、孝雄とは反対の方向を向く。


私のそんな行動に孝雄は、

『素直じゃないな…!』


って笑った…。




…あーっ!!聞こえてたな?!


私はムカッとして、繋いだ手を力一杯握って、離した。


『っ痛ぇ!!!!』


立ち止まった孝雄を置いて早歩きでずんずん進んだ。








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