追憶〜逢いたい人へ〜

二人の待ち合わせの場所に着くと、私は安心して立ち止まった。



孝雄も立ち止まる。



『…ありがとう。事件の時も、今も…。孝雄がいなかったら私……』




孝雄は繋いでいた手を強く引き寄せた。



孝雄と密着する…



孝雄は私を強く抱き締めた…。




…ちっちょっ!何?



びっくりする私に、


『…お礼はもうやめてくれ。俺が悪いんだ。なんとなくあいつの存在に気付いてたのに、一人にさせて…』


孝雄は、抱き締める腕に更に力が入った…。



『えっ…そうなの?私、全然気付かなかった…。』



『確信なかったし…お前に言ってビビらせるの嫌だったから…。ごめん…。』



『やめて!謝らないで…。孝雄は悪くない!!悪いのはあの男だよ!』



私の言葉にフッと笑った孝雄は、


『だな…。』



って私の大好きな笑顔をしていた。




私もつられて笑った…。





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