追憶〜逢いたい人へ〜

『…じゃあ…、お前の誕生日……会わないか?』



孝雄は恥ずかしそうにソッポを向いた。



びっくりして顔を上げた私に、


『古田にいつも先越されてたからな…』


ボソッと孝雄は呟いた。



私は更にびっくりして、


『誕生日、知ってたの?』


聞き返した。



『まぁな……』



孝雄の顔は真っ赤になった。

孝雄は、色白だから赤くなると首も耳も一緒に赤くなる…。




…誕生日知らないんだと思ってた……。


だから、あえて自分から言わなかった。


プレゼント催促してるみたいで嫌だったし…





『じっ…じゃあ、何年か分のプレゼントもらおうかな?』


調子に乗ってしまった。



私を冷たい目で見る孝雄は、


『…お前、お礼のこと忘れてるだろ…?!』


低い声で言った。




…あっ……。忘れてた……





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