追憶〜逢いたい人へ〜
展望台の所までくると、
周りは見渡す限り…
海…海………海…………
すごく綺麗…
でも、海を見ると勇を思い出す…
あの場所で、柵に座ってる勇の後ろ姿…
ズキッとする胸の痛み…
…勇と、あの場所からここを見ていたんだなぁ…
江ノ島が手のひらサイズに見える海を…
私の視線の先には勇とのあの場所…
でも、今は勇と見ていた江ノ島で孝雄とあの場所を見ている…
あの場所にはもう行かないって決めた。
だけど、ここからあの場所を見てるんだ。
なんか変な感じ……
『どした?』
ボーッとしている私に孝雄は優しく問いかけた。
そんな孝雄に嘘がつけなくて…
『んー…あそこ…』
あの場所の方を指差した。
孝雄は不思議そうに指差した方向を見て私の顔を見た。
『あの場所で勇と会ってたの…』