追憶〜逢いたい人へ〜
『今日はありがとう…楽しかった…。』
もう海は夕焼け色に染まって来たときとは違う表情をしていた。
夕日もずっと変わらない…
『おぉ…。…………。』
孝雄は何か言いたそうに私を見つめる。
私は黙って見つめ返す…
暫く、無言で見つめあったけど、結局孝雄は何も言わなかった……。
帰りに地元では少し有名な洋菓子屋さんに立ち寄った。
孝雄に店の前で待つように言われた私は渋々待つことになった。
数分後、大きな箱を抱えて戻ってきた孝雄は、また真っ赤になって、照れ臭そうに大きな箱を私の前に差し出した。
『なっ…何?』
『…プレゼントは何買っていいかわからないから…。ケーキは何個でも喰えるんだろ?っだから……』
ますます赤くなる孝雄に、私はドキドキして…抱き締めたい気持ちになった…。