追憶〜逢いたい人へ〜

家の前まで送ってもらったとき、つい癖で、

『また明日ね。』

って言ってしまった。



言ってから気付いた…



今は夏休み中だってこと!



そんな私を孝雄はお腹を抱えて笑った。



『夏休み中だった。』


恥ずかしくて、顔を手で覆った…。




『…今、隣町の予備校に通ってるんだ…。帰りに会うか?出てこれる?』



思いがけない孝雄からのお誘いに、私は、


『うん!出る!…あっ…でも……』


『勿論、来れる日だけでいい。』


『じゃあ、いつもの駅のホームで待ってる。』



『了解…』






こうして、私は夏休み中も孝雄と会えることになった。





家に帰って、大きな箱を開けた。


そこには大きなデコレーションケーキと、チョコのプレートには


“チヨ、お誕生日おめでとう”


“孝雄より…”


って書いてあった。



…これ…

わざわざ注文してくれてたんだ…



ここのケーキ屋さんは、注文しないとここまで大きなケーキは用意してないはず…




幸せいっぱい…



勿体無くて食べれないよ…



とりあえず、写真にだけはおさめておいた…。





ずっとこの幸せが続けばいい…



そう思いながら私の誕生日が終わった……。





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