追憶〜逢いたい人へ〜
『今日は早いじゃん!』


不安な気持ちをなんとか隠しながら、笑顔で後ろから孝雄の肩に手を置いて声をかけた…。





“ビクッ”として、勢いよく振り向いた孝雄は驚いた顔をしていた。


どうやら寝ていたみたい…



きっとまた遅くまで勉強していたんだろうな…




『…びっくりした…』


そう一言呟いた孝雄はまだボーッとしている…



『ごめん。そんなに驚くと思わなくて…』



電車が丁度良くホームへと入ってきた…。



『どうする?乗る?』


私は孝雄に聞いた。




だけど孝雄は、何も言わず私の手を握り、隣に座るように促した…。



私も何も言わずに孝雄に従う…。




電車を見送り、降りてきた人ごみの流れをぼんやり眺めていた…



“ガラン”とするホーム…



ホームには孝雄と私、二人だけ……






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