追憶〜逢いたい人へ〜
そっと…唇を離した…
目があうと、孝雄は、
『ごめん…』
そう一言呟いて目を反らした……。
…なんで……?
どうして謝るの……?
嬉しかったのに……
なのに…どうしてごめん…なの……?
少しイラッとした…。
少しじゃなかったのかもしれない…
多分、顔に出ちゃったんだろう…
孝雄はまた、
『ごめん…』
と謝る…。
頭にきて、
『なんで謝るの?』
声が震えてる…それは、苛つきのせいか…悲しさなのか……
堪らなくなって、怒り口調になる…
『…なんか怒ってるから…』
申し訳なさそうに私を見ている…。
『違うよ。怒る前のことだよ…。謝るくらいなら…そんなことしないでよ…』
怒りがだんだん、切なさに変わっていった…