追憶〜逢いたい人へ〜

『…不意打ちに近かったし…まぁ…つい、出た言葉…』



…つい…かぁ…



なんか力が抜けた…


私が俯くと、焦ったように孝雄は、


『…したことは…悪いとは思ってない…。』



『…後悔してる?』


私は孝雄を見つめた。


『してない。それはこっちのセリフ…。今さらだけど良かったのか?』



『私も、後悔してない。』


…“好き”…


言ってしまいそうになる言葉を必死に飲み込む…




伝えられない代わりに孝雄の目を見つめる…



“好き”


と心の中で呟きながら……



見つめ返してくれる孝雄の目は、私と同じ気持ちなんだと言ってくれてるようだった…



ドキドキする気持ちが溢れて押さえきれない…




孝雄と私は見つめあったまま、再び、唇を重ね合わせた……。






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