追憶〜逢いたい人へ〜

『そんなことより、明後日なんの日でしょうか?』


孝雄がクイズ番組の司会者みたいに聞いてきた…。



少し不貞腐れ気味だった私は“ハッ”として、


『孝雄の誕生日…!』


慌てて答えた…。



『正解!』


満足そうに笑って言った。


『ちゃんとプレゼント用意してあるんだ。だから……』

…会おうね…って言おうとしたら孝雄に先越された…。


『会おうな…。』って…。



『うん。もちろん!』


笑顔で言ったのに、孝雄は笑いもせず…まっすぐ前を見ながら


『学校さぼってどっか行くか?』




…なんか孝雄らしくないセリフ…



最近、たまに感じる胸騒ぎ…



私の不安そうな顔を見て、


『冗談だよ…』


っていつもと変わらない笑顔で言った。



それでも消えない胸騒ぎ…





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